興信所の現実

個人情報と探偵・興信所

個人情報保護法が2003年に成立し2005年には全面施行されてから15年以上経った現在、この法案の影響により探偵業はかなり厳しい状況に追い込まれてしまいました。

まず探偵・興信所の仕事のほとんどが個人情報に関わる内容だからなのです。

たとえば探偵業務の中で一番受注の多い浮気調査ひとつとっても浮気の証拠を取ることが目的ですがその調査方法は対象者を尾行していくことになります。

これは対象者の指定された開始時間からの行動を逐一マーク、どのような行動をしていたかを徹底的に調べ上げていきます。

そして分単位の行動を報告書に記載しますので何時何分にどこで誰と何をしていたかなどが明確にされるので完全に個人情報となります。

その結果、浮気相手と会い、性的行為に及んだことが確認されれば、浮気の確実な証拠となるのです。

更に浮気相手に対しても当然、氏名や住所などを特定しなければなりません。

もし民事訴訟になったり、慰謝料の請求となった場合には浮気相手を特定しておくことは必要なことでこの調査結果も当然、個人情報となります。

結婚や採用の際の身上調査においても当然、個人情報を調べ上げます。

学歴、職歴からどのような人物として見られているかなどを調べ上げ、時には趣味や趣向から家族についてまでも調査範囲が及びますので完全に個人情報の集約です。

人探しも同様です。

これは個人が現在、居住している住所を突き止めるものでこれもまた個人情報の提供になります。

この様に探偵の調査の殆どが個人情報を提供することが目的でもあるのです。

尾行、張り込み調査での素行調査での結果提供は探偵業法でも認められている調査で探偵業の届出をしているものが調査をして情報を提供する分には全く問題がありません。

聞き込みなどの調査においても差別的なことに関係しなければこれもまた問題はありませんが身上調査などにおいては報告書内容全てが個人情報となりますのでその報告書の取扱いには十分な配慮が必要となってきます。

ただ正式に届出を出し公安委員会からの認可を受けた探偵であっても個人情報の収集にはこの時勢ではかなり苦労させられます。

例えば会社関係ですと在籍確認、退職確認などもきちんと返答して貰える企業が少なくなってきました。

これは個人情報保護法によるもので非常に探偵サイドとしては迷惑をしています。

確かに個人情報の保護は必要というのは理解できます。

しかし、会社関係ですと在籍の有無、在籍していた場合には在籍期間の確認程度の協力はあってもなにも問題になるとは思えないのですが昨今、全て協力して貰えない傾向があります。

学歴においても卒業学校ではせめて何年に卒業しているかだけでも協力が得られれば探偵はずいぶんと助かります。

実際に学歴や職歴を詐称する人が増えてきています。

簡単に調べられないことを知っているかのように詐称してくるのです。

詐称してくる人は自分をよく見られたいが為に詐称するのですが中には悪意を持って詐称する人もいます。

いわゆる詐欺師達です。

しかも携帯電話の普及やインターネットの進歩により多くの人との出会いが簡単になり、プロの詐欺師ばかりでなく素人のにわか詐欺師も増えてきています。

人探しにおいても当然、家出調査や生き別れになった人、お世話になった人などの所在もありますがちょっとした金品の貸し借りによるトラブルが多くなってきています。

その為に金品を貸したが行方を眩ました。

名前や住所などは全く知らない、なんてケースもある位です。

人探しにおいてもさまざまな個人データを検索したりしてその情報を基に居住先を特定していきます。

これもまた個人情報を多く扱っているのです。

個人情報保護法の間違った解釈でこの法律が施行以降、一人歩きしている傾向もあり、学歴や職歴を誤魔化し易くなりました。

世の中には悪意をもって詐称する人もいます。

探偵でも個人情報の取扱いにはナイーブな問題も多く、気を付けなければ探偵自身が休業、廃業に追い込まれてしまいます。

もう少し探偵や興信所には個人情報開示の資格や権利を与えてもらいたいものです。